フリーランス事業主の管理は大変だと思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。この記事では、効果的なフリーランスマネジメントを極めるための 5 つの重要なプロセスを解説します。これらのプロセスを実施することで、チームに余分な負担をかけることなく、タスクをアウトソースできるようになります。
フリーランス事業主 (フリーランサー) とは個人事業主であり、一つの会社に長期にわたって所属する、いわゆる「社員」とは異なります。フリーランスの人材は専門的な技術を持つことが多く、さまざまな企業やプロジェクトでそのスキルを磨いています。
専門性が要求される仕事を多く抱えているものの、キャパシティが足りない場合、フリーランスがこの問題を解決してくれます。フリーランスチームを作り、管理することで、正社員を新たに採用することなく、現有戦力の働きすぎを軽減できます。また、適切なワークフローがあれば、「仕事のための仕事」、つまり、プロジェクトに関するコミュニケーションや情報収集、ステータス更新の追跡などを増やさずにフリーランスを管理することが可能です。
ここで役に立つのがフリーランスマネジメントです。
フリーランスマネジメントとは、フリーランス事業主 (フリーランサー) のチーム作りと管理を行うプロセスを指します。フリーランスマネジメントには、請求書の追跡確認などの事務作業から、オンボーディングやコミュニケーションを含む管理業務に至るまで、フリーランス契約者が働ける環境を作る取り組みのすべてが含まれます。
フリーランスマネジメントは基本的に次の 5 つのタスクで構成されます。
フリーランス事業主を探す
オンボーディングを行う
仕事を依頼、発注する
請求書と予算を管理する
フリーランス事業主との関係を管理する
フリーランス事業主の管理は、自社のチームメンバーの管理とは一線を画します。なぜなら、フリーランスを採用する場合、契約が特定のタスクやプロジェクトに限定されるためです。また、フリーランスの従業員は同時に複数の企業と契約を結ぶことが多く、他の会社の仕事も請け負っています。そのため、通常の従業員と比べて自由に勤務時間を決めています。フリーランスは特定の勤務時間内に連絡がつき作業を行うというよりも、期限内に仕事を完了することを優先した働き方をします。
その一方で、フルタイムの従業員は、時間の経過とともに変化する可能性のある、継続する職務を担います。自社の従業員には長期的に投資を行い、社内のプロセスや社風に慣れさせるためにオンボーディングに充分に時間を割きます。この初期投資により、自社の従業員には学習し、成長するため、そして、複雑なプロジェクトの責任者になるための情報とリソースが与えられます。反対に、フリーランス事業主の場合は、特定の領域に集中する傾向があり、スキルベースでプロジェクトに参加します。フリーランスを対象としたオンボーディングは、自社の従業員向けのオンボーディングよりも遥かに時間が短く、また、依頼された仕事を理解することに重点が置かれています。
フリーランス事業主を管理する取り組みには、苦労を強いられる可能性があります。請負業者との取引を行った経験が浅い場合はなおさらです。しかし、フリーランスマネジメントを行う際は、さまざまな未確定要素に対応する必要がある一方で、この取り組みを 5 つの具体的なステップに分割することが可能です。そして、これらの 5 つのステップをマスターすると、フリーランス作業者が仕事に集中できる環境をすぐに整えられるようになります。
優秀なフリーランスの人材を探すことに苦労するかもしれませんが、探す場所がわかっていれば、難易度は下がります。それでは、フリーランスの人材を探す方法をご紹介します。
ネットワークを活用する: 過去に一緒に仕事をしたことがあるフリーランサーについて、同僚に尋ねる手があります。おすすめの人材がいれば、教えてもらいましょう。
現在仕事を依頼しているフリーランス事業主に尋ねる: すでにフリーランス事業主と契約しており、さらに人材を増やしたいなら、現在契約中のフリーランスに同業者で仕事を引き受けられる人がいるかどうか尋ねてみましょう。フリーランス事業主は同業者のネットワークを持ち、協力関係にあることが多いため、人材探しにおいて頼りになります。
SNS で求人広告を投稿する: LinkedIn や Twitter などの SNS プラットフォームでフリーランスの求人広告を出しましょう。Facebook などのサイトでは、ネットワーク作りや作品の共有を目的としてフリーランス同士でグループを作っていることがよくあります。たとえば、フリーランスのライターが集まったグループなどです。このようなグループに参加し、当該の場所で求人広告を出すとよいでしょう。
人材探しをアウトソースする: フリーランスが主体となったギグエコノミーのおかげで、フリーランス用プラットフォームの Upwork や Fiverr が成長を遂げています。人材探しに当てる時間がなく、今すぐに人手が必要なら、このようなフリーランス探しに特化したプラットフォームを活用すれば、世界中のフリーランスの人材に容易にアプローチできるようになります。
仕事を依頼することになる可能性のあるフリーランスの人材に連絡する際は、担当するプロジェクトについて具体的に説明する必要があります。期待値を設定し、コミュニケーション不足を回避するためにも、役割の概要、必要なスキル、大体のプロジェクトのスケジュールを伝えておきましょう。以下に、フリーランスのコピーライターを探している会社による、アプローチのメッセージの例を記載します。
Acme Company では、プロジェクトの増加が予想されるため、フリーランスのコピーライターを追加募集しています。弊社はソフトウェア産業でコンテンツを作成した経験があるコピーライターを探しています。Acme Company に相応しいトーンとスタイルに合わせられることが条件です。これは継続的なフリーランスの案件であり、40 時間 / 月の仕事が継続して発生する可能性があります。
次の条件を満たすコピーライターを募集しています。
弊社のスタイルガイドに従い、会社のトーンに一致する、誤字脱字のないコピーを作成できること。
メールの本文や、モバイルアプリ向けの UI のコピーを作成できること。
プロダクトマネージャーによるフィードバックを反映させられること。
この条件を満たす方は、履歴書とポートフォリオを [email protected] に送信してください。
初めてアプローチする際は、推薦状や仕事のサンプルを求めたり、簡潔な仕事を採用の判断材料の一つとして依頼したりするとよいでしょう。こうすることで、実際に採用する前にフリーランスの人材が必要なスキルを持っているかどうかを確認できます。
フリーランス向けのオンボーディングには、自社の従業員ほど時間を割きませんが、フリーランスの人材に必要な情報を与えるには、ある程度事前の用意が必要になります。標準となるフリーランス向けオンボーディングプロセスを作成しておくと、今後の時間の節約となり、また、ストレスの回避にもつながります。フリーランサーが参加するたびにオンボーディングプロセスを作るのではなく、事前に設定されたプロセスに従って、新しい人材がプロジェクトの要件を満たす上で必要な情報を提供しましょう。
以下に、フリーランス向けオンボーディングプロセスに欠かせない重要なアイテムを挙げます。
契約書: プロジェクトの成果物や支払いの条件、プロジェクトのスケジュールについて同意を求める文書です。フリーランス事業主に詳細な契約書への署名を求めることで、誤解を回避できる可能性が高まります。
請求プロセスの説明: 会社によって、フリーランス事業主による請求への対応は若干異なります。請求プロセスをスムーズに進めるため、フリーランス契約者が「どのように」「いつ」請求書を提供するのか、そして、必要な税金関連のフォームや支払いの明細書を送信する方法についても併せて説明しましょう。また、フリーランス事業主が必要な情報を確実に提供できるように、請求書のテンプレートを盛り込む手もあります。
プロジェクト概要: プロジェクト概要では、フリーランスの契約者がプロジェクトで作業を開始するために知っておくべき情報を漏れなく伝えます。概要には、プロジェクトの説明、成果物の一覧、プロジェクトの締め切り、プロジェクト実行のガイドライン、完成した成果物の提出方法などの情報を盛り込みましょう。あなたが期待することや求めることに関して、より詳しく説明することで、フリーランス事業主があなたの期待に沿うものを提供できる可能性は高くなります。
フリーランスの人材を採用する際は、テンプレートが大活躍します。たとえば、社内の法務部門と連携して、契約書とプロジェクト概要のテンプレートを作成した後、フリーランスの人材を新たに採用するたびに重要な情報を記載することができます。また、オンボーディングでのコミュニケーションをテンプレート化しておくことで、やりとりを減らし、必要な情報を確実に伝えられるようになる効果が期待できます。
以下に、オンボーディングメッセージのサンプルを記載しますが、契約を開始する前に社内の人事部や法務部の確認を必ず得るようにしましょう。
[フリーランス事業主の名前] さん、お世話になっております。
[プロジェクト名] でご一緒できることを楽しみにしています。[背景情報が必要ならここに追加する]。
概要 + 担当業務
プロジェクト概要は [Google ドキュメント URL] でご確認ください。[こちら] の Asana プロジェクトで担当する仕事を確認できます。
数量
コンテンツ一点につき、[#] 分間で仕上げていただくことを期待しています。つまり、今月中に [#] 個のタスク (約 [#] 時間) を担当していただきますが、対応可能でしょうか?
料金
作品一点につき [$] を支払います。この金額は時給に換算すると [$] を少し上回ります。詳しくは、[請求プロセスの説明] のリンクからご確認ください。
締め切り
[日付]、[タイムゾーン、時間]
注記
[プロジェクトの優先順位 (必要に応じて)]
概要の [A] と [B] を参考にしてください。
ご不明な点があれば、遠慮なくお問い合わせください。連絡する必要がある際は、Asana で私宛にメッセージを送信してください。
よろしくお願いします。
[あなたの氏名]
仕事の依頼と受理は、フリーランスマネジメントにおいて重要なステップです。スムーズに仕事を進めるため、フリーランス事業主がタスクを確認し、完成した成果物を提出できる標準のプロセスを用意しましょう。たとえば、Asana では、プロジェクトをフリーランサーと共有し、具体的に締め切りを定めた上でタスクを割り当てられます。そのため、「いつまで」に「何を」すべきかが一目でわかります。
仕事を管理するシステムを作ることで、余計なやりとりと作業を回避できるようになります。新しい仕事を依頼するたびにメールを送信するのではなく、タスク管理ツール内でタスクの追加と割り当てを実行できます。その後、フリーランス事業主は成果物をタスクに添付します。さらに、この方法では割り当てたタスクや完了したタスクを俯瞰できるため、リアルタイムでプロジェクトの進捗状況を確認できます。
予算の追跡管理は、フリーランスマネジメントを代表するプロセスです。月初めにその月に使う金額を決定し、その予算に沿ってフリーランスの仕事を割り当てる必要があります。また、月末になったら、月初めに見積もった予算と請求書を照らし合わせて、資金の使い過ぎが発生しているかどうかを確認することも重要です。
一定の予算追跡プロセスを作ることで、支出が予算内に収まっていることを容易に確認できます。以下にその手順を説明します。
請求の頻度を決めます。たとえば、請求書の提出を隔週に定めるか、あるいは月末に定めるかなどです。フリーランス事業主に同時期に請求書を提出してもらうことで、支出を予測し、管理しやすくなります。
プロジェクトの予算を文書化します。文書を作成する際は、請求期間における実際の支出額と予想していた支出額を比較するためのセクションを設けましょう。隔週に請求書を提出してもらう場合は 1 週間おきに、月に 1 度の頻度で請求書の提出を求めている場合は月ごとに比較します。
予算を基に仕事を依頼します。フリーランス事業主に成果物ごと、またはプロジェクトごとに報酬を支払っている場合、簡単に計算できます。時給制を採用しているなら、フリーランス契約者が仕事をする時間数について説明しておく必要があります。
請求期間の終わりに請求書の提出をフリーランスチームに呼び掛けます。
請求書を集めて、予算の予想支出額と実際の支出額を照らし合わせ、記録します。
フリーランス契約者は、自分たちで自由にクライアントを選ぶことができます。つまり、フリーランス事業主との強固な関係を構築することは、あなたに大きな利益をもたらすのです。なぜなら、良好な関係を築ければ、フリーランス事業主はあなたから仕事を受けることを望むためです。
以下に、フリーランスチームとラポールを形成し、信頼関係を構築する方法をご紹介します。
心の知能を活用する: 心の知能は、他人の感情を理解する上で役立ちます。そのため、より効果的に協力できるようになります。心の知能をフリーランス事業主との付き合いに利用すると、思いやりを持ってコミュニケーションを取り、徐々に信頼関係を強化できます。
徹底的な管理には固執しない: フリーランス事業主はそれぞれのスケジュールに合わせて仕事をするため、いつでも返信可能で作業可能な状態を期待することは現実的ではありません。時折作業状況を確認する程度なら問題ありませんが、期限内の納品に関して基本的にはフリーランス事業主を信頼する必要があります。
フィードバックをプロセスに組み込む: 最初の試みですべてうまくいくとは限りません。フリーランスチームと仕事のやりとりを行う際は、フィードバックを求めるプロセスを少なくとも 1 度はワークフローに組み込むことが重要です。たとえば、最終納品を求めるだけでなく、フリーランス事業主に原案 (ドラフト) を提出してもらうことで、プロジェクトを進める前に必要な注意事項を伝えることができます。
具体的に締め切りを定める: フリーランス事業主と仕事のやりとりをする際は、明確さがカギを握ります。なぜなら、誤解は両者にとって時間とお金の無駄遣いになる恐れがあるためです。プロジェクトを開始する際は、仕事の締め切り、そして、納品の方法について明確に伝えましょう。
記事: マクロマネジメントを適切に行うためのヒント 8 選揺るぎない信頼関係を築くために力を入れる際は、フリーランス事業主との関係を記録しておくべきです。こうすることで、新しいプロジェクトが立ち上げられた際に過去に仕事を依頼したことがあるフリーランス契約者に連絡できるようになります。
フリーランスデータベースを作成しておくと、フリーランス事業主のネットワークの構築と追跡管理を行う上で有効に働きます。これは信頼できる唯一の情報源であり、現在仕事を依頼している人材や過去に仕事を依頼したことがある人材、今後仕事を依頼する可能性がある人材をすべて確認できます。その結果、それぞれの仕事に適切な人材を必ず見つけられるようになります。
以下に、フリーランスデータベースに盛り込むべきアイテムを挙げていきます。
フリーランス事業主の名前と連絡先情報
希望する料金
得意分野と専門分野
過去に担当したプロジェクトの概要
フリーランスマネジメントを、シンプルな取り組みに変えることは可能です。適切なプロセスとインフラを用意していれば、優秀なフリーランスチームの編成と管理ができるようになります。事前にある程度計画を練り、自信を持って実践するのみです。
フリーランス事業主を管理する取り組みは、メールや Slack、Google ドライブなどの複数のプラットフォームやツールを用いてコミュニケーションを取らなければならない場合、複雑になる恐れがあります。コレボレーションを複数のアプリに分割するのではなく、仕事を 1 つのプロジェクトマネジメントツールでまとめて管理しましょう。こうすることで、フリーランサーはプロジェクトの情報や仕事に関して、複数の情報源を確認する手間を省けるようになります。
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