サバティカル休暇とは、チームメンバーが自身の成長に取り組むために、職務から離れて長期間の休暇を取るシステムを指します。この記事では、この長期休暇制度を活用できるようにすることのメリットとデメリット、その仕組みなどの基礎知識についてまとめて解説します。
更新: この記事は、サバティカル休暇の導入事例に関する記述を含め、2024年 12月に改訂されました。
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自分磨きのジャーニーに乗り出すことにより、キャリアを充実させ、仕事へのモチベーションをさらに向上させたい。日々のストレスからいったん解放されて、もう一度リフレッシュした状態で仕事と向き合いたい。そう思うなら、サバティカル休暇をとるタイミングかもしれません。サバティカル休暇制度のポリシーやルールは、企業によってそれぞれ異なるため、勤め先の企業で提供されているのか、そうであれば、その仕組み、自分が条件を満たしているのかを理解することが重要になります。
サバティカル休暇制度とは、職務から離れて一定期間の長期的な休暇を取る制度を指します。休暇の理由を明確にする必要がある有給休暇とは異なり、サバティカル休暇の取得に理由は必要ありません。キャリアアップのための自己啓発を目的とする人もいれば、ワークライフバランスを取り戻すために申請する人もいます。
サバティカル休暇は、従業員がメンタルヘルスを最優先するための時間と余裕にもなるため、燃え尽き症候群や過労を避ける上でも効果的です。2019年、燃え尽き症候群は、世界保健機関により職業上の現象として分類されました。さらに、「仕事の解剖学」インデックス 2021 によると、ナレッジワーカーの 10 人中 7 人 (71%) が昨年の間に少なくとも一度は燃え尽き症候群を経験しています。
自分の視野を広げるために海外留学をしたり、業界のリーダーが中心となって行われるフェローシップに参加したりするなど、サバティカル休暇を取る理由はたくさんあります。これまではまとまった休暇が取れなくて断念していたボランティア活動に励むことも可能です。
サバティカル休暇は、取るチャンスがあれば、自分のスキルアップに取り組んだり、チームに革新的なアイデアをもたらしたりするなど、従業員にとっても、企業側にとってもメリットがあります。また、チーム内の士気を向上させて、従業員の生産性を高めるのに役立つほか、燃え尽き症候群が起こる可能性を低減できます。
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ワークマネジメントツール Asana とは?アメリカで生まれたとされるサバティカル休暇は現在、ヨーロッパで広く普及されている特別休暇制度で、近年、日本企業でも導入するところが出てきました。リモートワークやフレックスタイム制度など、新しい働き方が登場し、労働への価値観も変化しつつある昨今、特に注目が集まってきています。まだ欧米に比べると一般的ではありませんが、経済産業省も導入を推奨しているサバティカル休暇は、社員への選択肢のひとつとして提供されるべきものだと言えます。
ここでは、日本におけるサバティカル休暇の例を 2 つ挙げます。
ヤフーは正社員を対象に、勤続 5 年ごとに最長 2 カ月のサバティカル休暇を取得できる制度を導入しています。休暇取得者には「休暇支援金」が支給され、経済的な負担を軽減しながら自己成長やリフレッシュをサポートするのがこの制度の目的です。休暇後には、体験や成果を社内で共有するレポートの提出が求められ、他の社員への刺激や学びの共有につながっています。働きやすい環境づくりを目指すヤフーの事例は、柔軟な働き方を促進する好例と言えるでしょう。
ソニーもまた、「フレキシブルキャリア休職制度」として、社員が自発的に成長機会を得られるサバティカル休暇を導入しています。この制度では、社員がキャリアアップや社会貢献活動に専念できるよう、最長 2 年間の休職を可能とし、配偶者の海外赴任に同行する場合は最長 5 年もの長期休暇をとることができます。休職中は無給ですが、社会保険の本人負担分が会社から支給され、さらに私費留学の初期費用として最大 50 万円の補助が受けられる点が特徴です。一方、「休職キャリアプラス」という制度もあり、育児や介護などで休職中の社員に対し、在宅勤務の機会や研修費用の補助を提供し、復帰後も安心して働ける環境を整備する制度として社員をサポートしています。これらの制度は、社員の多様なキャリア選択を支援する重要な取り組みと言えるでしょう。
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サバティカル休暇の有無と期間は、組織のポリシーと就業国によりますが、一般的には、1 か月から 1 年です。
どれくらいの期間のサバティカル休暇が自分に合っているかは、マネージャーに相談してみましょう。会社によってそれぞれですが、最も一般的なのは 12 週間です。サバティカル休暇の期間は、国や地域によって異なる場合もあります。
サバティカル休暇と休職の違いを理解しておくことは大切です。病気休暇や一時的労働不能休暇といった他の休職には、休暇の理由や要件について具体的な目的や法的要件があります。一方のサバティカル休暇は、個人的な成長または職業人としての成長を目指したものであることが一般的です。
一般的に、サバティカル休暇には、休暇を申請する、詳細について話し合う、休暇を取る、仕事に復帰する、という 4 つの要素があります。
サバティカル休暇の申請プロセスを開始するにあたり、通常は、まず最初に上司と人事部に長期休暇が欲しいことを伝えます。人事部は、社内ポリシーや法的文書、該当する法的要件など、サバティカル休暇を取るために満たす必要がある要件について説明してくれます。
休暇の目的について話がまとまれば、次は休暇の期間と条件について話し合います。以下のような事柄について、ディスカッションが必要になるのが一般的です。
長期休暇に関する法や規制
サバティカル休暇の目的
サバティカル休暇の期間
自分の休暇中にチームが使用するリソース
休暇中に得るインサイト
サバティカル休暇に関するポリシーがすでに確立されている企業もあれば、そうでない企業もあります。後者の場合は、チームメンバーと組織が得られるメリットに基づいて、ケースバイケースでサバティカル休暇に同意を得られる場合もあるでしょう。
休暇取得の同意を得た後は、一般的に書類による手続きが必要になります。同意する条件の内容は、社内ポリシーや該当する法および規制によって異なりますが、多くの場合は何らかのかたちで職業人して成長した証を示すことが求められます。企業にもたらすツールやプロセスであったり、休暇中に得たものを簡単に記述したものであったり、その内容はさまざまでしょう。
サバティカル休暇が終わったら、チームとマネージャーがパイプラインの新規プロジェクトについて説明してくれます。現在の問題を解決できる新しいソリューションを提供して、サバティカル休暇で修得したスキルを活かすことが重要になります。
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Asana の活用方法を見るサバティカル休暇の期間と同じで、有給になるかどうかも組織のポリシーおよび関連する法や規制によります。
企業によっては、12 週間の有給サバティカル休暇を提供する所もありますが、どの企業でもそうだとは限りません。有給ではないにしても、通常の給与全額ではなく、その何割かが支払われる可能性があります。
無給のサバティカル休暇だと魅力が落ちるかもしれませんが、それでも長期休暇を取るメリットはあります。仕事から離れてサバティカル休暇を取ることは、個人としても、職業人としても、成長を広げる機会となることに間違いはありません。
人事部に連絡を取り、自分自身が置かれている状況で活用できるサバティカル休暇に該当する法や規制、社内ポリシーや就業規則について詳しく情報収集しておきましょう。人事部は、休暇は有給になるのか、休暇中に福利厚生は適用されるのかといった事柄についても説明してくれます。
サバティカル休暇って誰でも取れるの?と思われるかもしれませんが、一般的には、現地の雇用に関する法や規制、勤め先企業での在職期間、地位、承認を受けられるかどうか、サバティカル休暇の期間といった要因が影響します。
多くの場合、サバティカル休暇が有給となるのは、勤続年数が一定の年月を超えた場合に限られます。たとえば、企業によっては、その企業での在職期間が 2 年を超えた場合に 12 週間の有給サバティカル休暇が提供されます。
サバティカル休暇を申請する理由も、大きな要素となります。多くの企業では、単純にキャリアへの関心を示す程度ではなく、それ以上の情報を提供することが求められます。プロフェッショナルとして成長を遂げるための計画とそれが組織の成長計画にどう貢献するのかについて詳しく説明することが条件となる場合もあります。
申請資格が認められたら、正式に申請を行い承認を求めます。
サバティカル休暇を正式に申請するには、人事部に一連の書類を提出する必要があります。組織全体の同意を得るために、さまざまなチームリーダーにも休暇願いを出すことが必要になる場合もあります。
社内の人事部に問い合わせて必要な用紙や文書がないかどうか確認しましょう。以下は、サバティカル休暇申請用紙の 1 例ですが、実際に申請するときは、必ず社内のポリシーと文書の内容に従ってください。
サバティカル休暇の申請には、休暇の目的、期間、復帰計画に関する詳細を記載することが必要になる場合が多々あります。不在時のバックアップに備えた正式なチームプランの作成を人事部から求められる場合もあります。自分の業務を代行するチームメンバーや必要となる外部リソースなど、具体的な情報が求められるケースもあるので、考慮に入れてください。
サバティカル休暇の内容は、それぞれ異なりますが、いくつか具体例を挙げてみましょう。サバティカル休暇の申請用紙を提出する前に、人事部に専用の文書がないかどうかを確認することをわすれないようにしてください。
【サバティカル休暇申請用紙】
氏名: Kat Mooney
部署: マーケティング
在職年数: 5
サバティカル休暇の期間: 1/10~4/4
目的の説明文:
私は 12 週間のサバティカル休暇を取り、リーダーを対象としたフェローシップに参加したいと思います。このフェローシップは、業界で活躍する一流のリーダーたちの下で学ぶ素晴らしい機会です。自分のリーダーとしてのスキルやチームに新しいマイルストーンを達成する力を与える方法を修得できるほか、国内各地の新興リーダーたちと永続的な関係を築くことができます。
私自身の個人的なスキルとプロフェッショナルとしてのスキルを向上できるだけでなく、吸収したことを組織に持ち帰ることができます。復帰した際には、新しく学んだスキルをチーム内で実践し、新しいマネージャーやすでにマネージャーとして活躍している人たちのスキルを向上させるためのワークショップを開きたいと考えています。
チームメンバーの署名: Kat Mooney
承認の署名: Daniela Vargas
申請用紙に加え、サバティカル休暇が終了した後には、参加したアクティビティや休暇中に学んだ事柄を細かく記述した報告書の提出が必要となる場合もあります。
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チームメンバーとしてサバティカル休暇を取ることと、組織としてサバティカル休暇を提供することの両方、にたくさんのメリットがあります。
長期休暇を取ることが、効率アップを図る一番の王道であるようには聞こえないかもしれません。しかし、サバティカル休暇を取り、仕事とプライベートのバランスを取るように働き掛けることは、チームの生産性と全体的な士気に大きなメリットをもたらすことがあります。大切なのは、リソース計画を事前に済ませ、仕事をチームメンバーに平等に割り振るということです。
サバティカル休暇を取ることには、主に 3 つのメリットがあります。
創造性が高まる: サバティカル休暇は、思想リーダー (ソートリーダー) の指導を受け、新しい情報やトレーニングからインスピレーションを得るための期間です。サバティカル休暇で遠出が必要になる場合でも、近場のエキスパートからパワーをもらえるようなレッスンを受ける場合でも、自己啓発を目的に休暇を取ると、チームメンバーは創造的になり、革新的なアイデアをチームの皆に持ち帰ろうという気持ちになれます。
生産性が高まる: 生産性は、仕事の邪魔が減り、仕事が整理され、チームコラボレーションが行われるときに高まるものです。サバティカル休暇を取ると、その各領域においてスキルアップする方法を学べるほか、休養を取って疲れた体を充電することもできます。
燃え尽き症候群を減らす: 燃え尽き症候群が広まりつつある中、リーダーがチームにしっかりと耳を傾けることは極めて重要と言えます。ナレッジワーカーのほぼ半数 (46%) は、過労を燃え尽き症候群の主な要因として挙げています。その内 3 人に 1 人 (29%) は、タスクや役割が明確でないために過労を感じています。チームメンバーがサバティカル休暇を取れるようにすれば、チームメンバーのメンタルヘルスが改善し、長期的に見てもチーム内で燃え尽き症候群の発生を減らすことにつながります。
サバティカル休暇を取ると、スキルを向上するだけでなく、メンタルヘルスを常に最優先しようという意欲がチーム内に芽生えます。さらに、サバティカル休暇は、チームの士気を高めるだけでなく、個人が各々の思想リーダーシップを使って人々を教育することを促進します。
記事: 不在時の対応: Asana を使って休暇に備える 4 つの方法サバティカル休暇は、それを活用する本人だけでなく、必ずチーム全体のメリットになります。各チームメンバーが各々のナレッジベースを拡張すれば、それがチーム全体にとってプラスとなるからです。
示唆に富むチームを作るのであれば、燃え尽き症候群の発生を減らし、生産性を高めることは欠かせません。リモートワークソフトウェアを使って柔軟なスケジュールを立てるようチームに働きかけましょう。可視性が高まり、優先事項が明確になれば、チームは生産性と効率を向上できるという強い気持ちを持って仕事に臨めるでしょう。
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